ミャンマー滞在3周年

2007.03.01 Thu

ちょうど3年前の今日、わたしは初めてミャンマーの地に立ちました。

夜の便で到着したときは、えらい小さくて暗くて古い到着ターミナルだなあ、という印象で、アフリカのニジェールを彷彿とさせました。空港まで迎えに来てくれた職場の運転手は、気を利かせて少し回り道をしながらダウンタウンにあるホテルまで連れて行ってくれました。途中で見た、闇夜に映える黄金のシュエダゴンパゴダの姿はいまでも脳裏にはっきり焼きついています。

この3年を一言でいうと・・・。難しいですね。一言ではいいきれない。でも、大きく分けると、この3年間は2つに分けられるように思います。右も左もわからず、ただCDRTというのは素晴らしいプロジェクトだと信じきっていた前半の1年半と、だんだんと影の部分も見えてきて、山積する問題を解決し組織をよくしていこうと苦労してきた後半の1年半。

この変化を引き起こしたのは、自分の中で起こった変化だったように思います。それまでは「学ぶ」という名目で受身であることが多かったのですが、このままではダメだと一念発起しました。勉強させてもらうだけでは当然プロとしては失格ですから、何らかの形で組織に恩返しをしよう、しかもリターンを返さないと自分の成長もないと悟りました。結局、そのときにやろうと思ったことは、また別の方向へと姿を変えたわけですが、組織にとってもわたし自身にとっても、大きな転換期となりました。

自分の中で変化が起きた理由としては、まずは行動を起こしたことがよかったように思います。何ができるかを頭で考えて、決めてから動くのではなく、まずは動くと決めてしまったということ。結果として、自分が情熱を傾けることができ、かつ組織にとっても重要な課題を見つけることができました。その課題というのは、どうすれば村が自立して発展していけるのか、そのためにどのような支援ができるのか、ということです。

そして、この課題をクリアーしようと試行錯誤していった過程では、さらに多くの課題が見えてきました。このようにして、CDRTという組織の根深い複雑な問題の構造が見えてきましたし、ひいてはミャンマーという国が抱えるさまざまな問題も見えてきました。

とかく頭で考えて、考えすぎて動けなくなるという傾向の強いわたしにとっては大きな教訓となっています。

さて4年目に入り、いよいよ本格的な刈り取りの時期にきています。昨年は「パイロット事業」ということでもよかったのですが、今年は本当の意味でのリターンを組織に返さないと。そのためには、技術的な面だけではなく、組織に内在する変化への抵抗や個々人のやる気など、総合的視点から考えていかないと、結果を出すことはできません。チャレンジしがいのある壁が目の前に立ちはだかっています。

  1. 2007/03/01(木) 22:04:00|
  2. 業務ポートフォリオ|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント:2

自己管理

2007.03.03 Sat

【2007年15冊目】
死ぬまでに達成すべき25の目標
中嶋秀隆・中西全二 (著)
(PHP 2007年1月)

プロジェクト・マネジメントの手法を人生に活用する、というテーマの本である。ただし、テクニックだけの薄っぺらな内容が展開されるわけではない。

随所で、生と死を考えさせられる。いわば、自身の人生の遠近感をつかみ、立ち位置を確認でできるよう読者を導いてくれる。

生。「わたし」という存在は、気の遠くなるような確率で誕生した。太陽系における地球の位置、生命の誕生。地球における人類の誕生。両親の巡りあい。そして受精率。そう考えると、自分が「生かされている」のだと悟る。

死。「メメント・モリ(死を想え)」。約2000年前、突然の死を迎えたポンペイの人々の例を挙げるまでもなく、わたしたちはいずれ死を迎える。病気などによって死を間近に控えた人たちの言葉は心に響く。死が避けられないと悟ったとき、日常のありふれた光景が「輝いてみえる」。

日輪はつねに輝いている。
森羅万象に恵みが溢れている。
花を見ても慈悲が輝いている。
月を見ても慈悲が心に染みてくる。
それがそのまま歌の相なのだ。
(辻邦生『西行花伝』)

生に感謝し、死の存在を自覚したうえで、自分は何をしたいのか、何ができるのか、と問いかけ、それに向って歩み始めるにはどうすればいいのか。それが、著者たちが提案する「構造」である。次の3つからなる。

1.人生のビジョン
2.25の目標
3.人生101のリスト

「人生のビジョン」は、「人生の目的」、「価値観」、7つのエリアでの「なりたい自分」で構成される(?家庭、?仕事、?社会・友人、?健康・スポーツ、?教養・成長・変化、?趣味、?経済)。なりたい自分になるために、それぞれの分野で「25の目標」を決める。目標は「どスマート」で設定するところがミソである。「ど」が付くのは初めて目にした。Documentedの「ど」、なるほど。そして、達成した目標は、「人生101のリスト」に書き残していく。

人生とは、煎じ詰めれば、「思い出の総量」(城山三郎)にほかならない(p.211)

上記の3つを構造化する、25という目標の数と範囲、思い出を書き残すといったアイデアあたりが、本書の真骨頂といえるだろう。

わたし自身はどうかというと、「フランクリン・プランナー」を使っているので、価値観、役割、ミッション・ステートメント、目標は、自分の中で明らかになっていた。本書から新たに学んだのは広い範囲の目標を設定すること、そして人生101のリストで記録を残すこと。もう一つは「なりたい自分」だ。フランクリン・プランナーでは、どうもミッションと目標の間が開いている気がして違和感があったのだが、「なりたい自分」として将来のイメージを描くことで目標の設定が容易になるだろう。ただ、「なりたい」というのは語弊があると思う。「なる」や「得る」というのは一時点のことで達成されれば終わりだから目標であるといえる。正確には「ありたい姿」というべきで、「ある」という表現がビジョンとしては適切かと思う。

最後に、わたしと同年代の方々に送る。

「人生が最も複雑になるのは、一般的に言うと、三十五歳〜四十歳ごろの人生の折り返し点あたりからであろう。家族の人数や構成もあらかた決まって、それなりに安定し、仕事のキャリアも積んで、より大きなことにチャレンジし、毎日を楽しみつつ社会にお返しする番だ。「7つのエリア」のどれについても、その人の真価が問われる重要な時期である。(p.167)」

この複雑さを引き受けるのに必要なのが、目標を明確にすることだ。自身の人生を充実させ、お世話になった方々や社会全体へ報恩するためにも、己を律し、自身の目標を管理することが求められているのでないだろうか。本書は、そのための大きなヒントを与えてくれる。おすすめである。

  1. 2007/03/03(土) 22:46:00|
  2. 【本】 自己開発|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント:0

VPWガイド

2007.03.05 Mon

村の計画ワークショップについて以前書きましたが、1月の年次ワークショップのあと現場で実施しています。先日、現場マネジャーの何人から話を聞いたところ、比較的うまくいっているようです。少なくとも、マネジャーたちの話によるとですが・・・。

なんとか現場スタッフの助けになるようにと、このVPWのガイドを作成して配りました。

このガイドで示したかったのは、
・ツールを硬直的に使うのでなく、目的に合わせて使い分けること
・まずはその目的をしっかりと理解すること
・目的達成のためのツールをたくさん知っておき、どれを使うかは参加者の状態を見て自分の判断で決めること

VPWの目的というのは、その1年で取り組むべき村の開発課題を村の総意として把握することと、その課題を解決するための行動計画を立てることです。そのために、村の集会ではまず総合的に村の状況を理解した上で、できるだけ多くの課題を挙げてもらう必要があります。その方法としてPRAをはじめとするツールを使うのですが、いままでの経験からいうと、マニュアルにただ機械的に従ってPRAを実施してきたという反省があります。

VPWの集会には二つの流れがあります。第一に、たくさんのアイデアを出す「拡散」の方向、次に、出されたたくさんのアイデアを「収束」させていく方向。収束された先が、優先順位をつけた村の開発課題というわけです。この二つのグループダイナミクスを理解しているだけでも、グループがどの位置にいて、ファシリテーターとして何をすることが求められるのかわかるはずです。そして、自分の位置によってどのツールを使うかも決めることができます。

でも、この部分を理解できるスタッフは何人いるのか。そもそも、「VPWガイド」を読むスタッフは何人いるのか。こういうことを悩まないといけないのは何とも情けない。とはいいつつ、どうやったらこちらが提供した文献を読み、活用してもらえるのか、頭を悩ませているところです。スタッフにやる気になってもらうというのは本当に難しいことです。

  1. 2007/03/05(月) 22:58:00|
  2. 業務ポートフォリオ|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント:0

死生学

2007.03.07 Wed

【2007年16冊目】
モリー先生との火曜日
ミッチ・アルボム (著) 別宮貞徳(訳)
(NHK出版 1998年9月)

死を間近に控えた人の生き様、死に様、言葉をつづった良書である。

著者は、モリー先生の元教え子。卒業してから15年、音信不通となった恩師の姿を偶然テレビで見かける。そして、恩師が不治の病に侵され、余命が長くないことを知る。

モリー先生は社会学の教授。ダンスが好きで、目をつぶり自分の世界に浸りながらひたすら踊りまくる。病気を知ったとき、モリーは自分にこう問いかけた。「希望をなくして消えていくか、それとも残された時間に最善を尽くすか(p.17)」。そして、「死を人生最後のプロジェクト」にすることに決めた。

15年ぶりにミッチへの授業が再開された。学生のときと同じ毎週火曜日。ただし場所は自宅の病床。テーマは、愛、仕事、社会、家族、老い、許し、死。

モリーの言葉は心に響く。人生に何が大切かを語ってくれる。最後には、モノやカネではなく、人とのつながり。その裏には、モリーが得た若い頃の体験があった。大学院修了後、研究の道に進んだ。ある精神病院で働いた数年間、彼が見たのは、裕福な家庭に生まれ経済的に恵まれた患者たちが、幸福を得られていなかったこと。

「人間は、お互いに愛し合えるかぎり、またその愛し合った気持をおぼえているかぎり、死んでもほんとうに行ってしまうことはない。つくり出した愛はすべてそのまま残っている。思い出はすべてそのまま残っている。死んでも生きつづけるんだ―この世にいる間にふれた人、育てた人すべての心の中に。」(p.176)

「死で人生は終わる、つながりは終わらない。」

この本がよいのは、著者の心の奥の葛藤を、モリー先生が理解しつつも言及せず、つねに自分自身の経験をもって話をするという心の交流かもしれない。モリー先生はミッチのことを本当に理解していて、ミッチが自分の感情を素直に表現できないことも、過去について後ろめたい気持を持っていることもわかっている。言葉に出してこそ言わないが、モリー先生はわかっている。表には現れない微妙な心のつながりを見て取り、そこまで教え子のことを考えてくれる恩師を持った著者が羨ましくなる。

  1. 2007/03/07(水) 22:49:00|
  2. 【本】 その他|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント:6

智恵

2007.03.10 Sat

【2007年17冊目】
名言の智恵 人生の智恵
谷沢永一 (著) (PHP研究所 1994年1月)

【2007年18冊目】
人間通
谷沢永一 (著) (新潮選書 1995年12月)

同じ著者による二冊だが対照的なのが面白かった。『名言の智恵 人生の智恵』のほうは古今東西の引用集で前向きに生きる力を与えてくれる内容である。かたや、もう一冊のほうは、人間性のむしろ暗い面に深く切り込んだ内容で、人間とはそういうものだと認識した上で生きていきなさいという著者のメッセージを感じさせる。

1冊目でもっとも印象に残った言葉は、「仁・義・礼・智・信」である。これらは五常とよばれ、儒教の教えから出ている。二宮金次郎が大切にした道でもある。

仁:生ある物をあわれみめぐみ、思いやりふかく、いたわること
義:すべき筋のことをかならずすること
礼:目上を敬い、目下を卑しめず侮らず、我が身をへりくだり、おごらないこと
智:人情、世の中の根本を押さえ、知らないことでも広く推し量り判断できること
信:真実にいつわりなく、わがかまりなく、かげひなたなく、まことなること

いずれも心して実践していきたい。

谷沢は、この「智」を得る一手段として『人間通』を著したのかとも思える。

「他人の気持ちを的確に理解できる人を人間通と謂う。」p.18

とくに印象に残ったのは次の言葉。

「人間は生を終るまで常に心を新たにして、世の姿と人の心を、よく見て、よく調べて、よく考える、という地道な努力を続けるしかない。」p.94

  1. 2007/03/10(土) 13:01:00|
  2. 【本】 自己開発|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント:2
次のページ

プロフィール

カレンダー

02 | 2007/03 | 04
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Category

Archives

Links

RSSフィード

お小遣い稼ぎ!
スマホでお小遣い稼ぎ!
DTIブログポータルへ
このブログを通報
Report Abuse

利用規約