最後の1年で何が残せるか

2007.01.01 Mon

明けましておめでとうございます。

ミャンマーに来て2年10ヶ月が過ぎ
このブログは、前身から数えてすでに3年目に突入しています。
怠け癖から昨年はなにかと途切れることが多かったのですが
今年は、細くとも長くは途切らせることなくやっていきますので
よろしくお願いします。

昨年は、仕事において自分なりに大きな変化のあった年でした。
年初に、吉田新一郎さんとメール交換を再開させていただき
1年を通してアドバイスをいただくことができたのが
仕事の充実につながったと深く感謝しています。

今年をミャンマーで最後の1年にしようと心に決めています。
(厳密には、2008年2月末を最後ですのであと1年2ヶ月ですが)

この期間で、わたしはCDRTに何を残せるのか?

わたしは、文書、仕組み、文化を残したいと考えています。

文書としては、
いままでの国際協力とは一風変わった
プロジェクト運営に関する「手引書」をまとめたいです。
焦点は、スタッフ、住民ともに、関わる人たちの学びと変化です。

仕組みは、文書とも重なるのですが
スタッフの一人ひとりが、現場での体験から学び、
真に成長できるような仕組みを組織につくりたいです。
そうした仕組みがまず組織内にできてはじめて
農村の変化と発展を支援できるようになるでしょう。

そして文化としては、
問いかけることをCDRTに定着させたいです。

いまはまだ、
上司が命令を下し、部下は従うという流れが
組織の大勢を占めてしまっています。
これは、部下である現場スタッフが、
村の人たちと接するときに
同じような流れとして弊害が出ています。

村でのスタッフの行動を変えるには
まず組織の中で一人ひとりの行動が変わる必要があります。

みんなが、失敗も成功も何でもオープンに議論でき
誰もが皆、人には力があるということを心から信じ
相手が自力で問題を解決することを助ける。
その方法として「問いかけ」が大切と考えています。

これら文書、仕組み、文化をCDRTという組織に残せた暁には
ミャンマー農村の自立発展を実現できると信じています。

今日1日で、自分は1歩進むことができたのか
自省しながら今年1年を過ごしていくことを肝に銘じています。

  1. 2007/01/01(月) 12:29:00|
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二宮金次郎の言葉

2007.01.02 Tue

【2007年1冊目】
現代語抄訳 二宮翁夜話〜人生を豊かにする智恵の言葉
二宮尊徳(口述)福住正兄(筆記)渡邊毅(編訳)
(PHP研究所 2005年2月)

二宮金次郎(1787-1856)の言葉や活動を
弟子の福住正兄が書き留めた言行録である。
原著は全5巻と続編で構成され全部で281話が納められている。
本書はうち104話を現代語に訳したもので10章からなる。

編訳者は中学校の先生で
他にも道徳に関する著書がある。
不登校、ひきこもり、自殺、少年犯罪など
道徳教育の欠如が人心の荒廃をまねいているとしている。
同じような問題に直面したのが明治初期。
その克服に大きく貢献したのが金次郎を扱った教材であった。

「かりの身を 元のあるじに 貸渡し
 民安かれと 願ふ此身ぞ」p.43

金次郎がその覚悟を詠んだ歌である。
この世に生を受けた身は、仮の身である。
わが身とは思わず天のために捧げる。
生涯一筋に、世のため人のためのみを思い
国や天下のために役立つことのみを勤める。
その激烈な覚悟には感服する。

金次郎は農村復興のために下野桜町(栃木県)へ移り住むとき
小田原藩にある自分の家財全部を処分して臨んだ。
それほどの覚悟がなければできない事業と心得ていたのだろう。
こうして金次郎はのちに約600村の復興を手がけた。

金次郎の話は農民にわかりやすい例を引いて語られる。

己の中には、私欲がある。
私欲は田畑にたとえれば、雑草だ。
「克つ」とは、この田畑に生える雑草を取り除くことをいう。
したがって「己に克つ」というのは、
自分の心の田畑に生える草を取り除いて、
自分の心の米や麦を繁茂させることに励むことなのである。p.38

このように金次郎は
「心の田」を開拓することに重きを置いたようだ。

[荒地や借金などの]「荒蕪」のもとは、
心の田の「荒蕪」によるものなので、
私の道は、まずこの心の田の「荒蕪」を
開拓することを優先させている。p.239

また小さなことを積み上げて事を成すということは
「積小為大」という。

百万石の米といえども、
米粒が特別大きいわけではない。
万町歩の田を耕す場合でも、
その作業は一鍬ずつの仕事からである。p.48

金次郎の仕法の基本は、勤労、分度、推譲である。

私の道は、勤・倹・譲の三つである。
勤とは、衣食住になる物を一所懸命に生産することにある。
倹とは、その生産したものを浪費しないようにすることをいう。
譲とは、この二つを他に及ぼすことをいう。p.251

「勤労」

富と貧を分ける根本は、ただ一つの心得にある。
貧者というのは、昨日のために今日勤め、
昨年のために今年勤める、ということをするから、
いつまでも苦しんで成功しない。p.134

世の人は今日飲む酒がないときは借りて飲み、
今日食う米がないときもまた借りて食う。
これが、貧窮する原因なのだ。p.134

「分度」

私の復興事業の方法は、
分度を定めることを基本にしている。
この分度を確立して、これを厳重に守れば
荒地や借財がどれだけあっても、
何も恐れたり心配したりすることはない。
私の富国安民の方法は、
分度を定めることの一点にかかっている。p.165

「推譲」

人たる者は、智恵はなく、力は弱くても、
今年のものを来年に譲り、他に譲る道を知って、
それをよく実行すれば、
その努力は必ず報われるのである。p.170

どんな良法・仁術といえども、
村中で一戸の貧者も出さないというのは、難しいことだ。
(中略)
前世の因縁もあって、これはどうすることもできない。
このような貧者は、ただその時々の不足を援助してやって
どん底に落ちないようにしてやることだ。p.67

金次郎の農村復興の仕法には
現代でも十分に通用する考えが多い。

秤のつりあいのようなもので、
左が重ければ左に傾き、右が重ければ右に傾くのと同じだ。
村内に貧しい家が多ければ村全体が貧困に傾き、
悪が多くなれば悪に傾く。
だからお互い、恥というものがなくなる。
その反対に富裕な家が多ければ富裕に傾き、善人が多ければ善に傾く。
だから、恥というものが生じるし、正義心も生じてくる。
よくない風習を改め、村を復興する事業は、
この機会をおいて他にはない。p.66

村を復興しようとすれば、必ず抵抗する者がいる。
これに対処するのもまた、この道理である。
決してこれにとらわれて気にしてはならない、
妨げられてはならない。
気にせずに放っておいて、自分の勤めに励むべきだ。p.57

世間では、救済に志のある者は、
よく考えもせずに金品を施し与えることがあるが、これはよくない。
なぜなら、それによって人々を怠惰に導くからだ。
恵んでも減らさないように注意して施し、
人々が心を奮い立たせ、
努力して困難に立ち向かえるようにすることが必要である。p.190

私の道に従事して刻苦勉励して国を興し、
村を興し、人々の困窮を救うことがあったときでも、
必ず人々が「報徳仕法の力を少しも借りていない」と歌うはずである。
そしてこのときこれを聞いて、
喜ぶ者でなければ、わが一門の人間ではない。p.225

私の道は、至誠と実行があるのみだ。
私は才智・弁舌を尊重しない。p.147

この最後の言葉どおり
金次郎の強さはなんといっても
いったことを自ら実行する誠の心にあると思う。
本書は一度読んだだけでは
なかなかその深さを理解できない1冊だ。
何度も読み返し、実行し、
少しでも偉大な先達に近づきたいものだ。

  1. 2007/01/02(火) 12:20:00|
  2. 【本】 自己開発|
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新たな権力?

2007.01.04 Thu

【2007年2冊目】
グーグル〜既存のビジネスを破壊する
佐々木 俊尚 (著)(文春新書 2006年4月)

アマゾンのBest of 2006「ビジネス書」部門で第10位。
ヤンゴン日本人会が運営する図書館にあったので
借りて読んでみた。

ミャンマーという俗世から離れた世界に住むと
取り残されているという感覚に襲われることがある。
ネットから情報は得られるが、やはり絶対量は不足する。
最近、Web 2.0やら、よくわからない言葉を目にする。
これからどんな世界が拓けていくのか興味深いところだ。

本書では、グーグルという検索エンジンの運営会社が
単なる広告収入だけで大きくなっているのではなく
世界を根底から変えていく可能性があると描かれている。
IT音痴のわたしにはなかなか新鮮であった。

数百メートルごとにアンテナを立て
無線ネット接続を無料で提供することで
誰がどこに住み、どのような興味や嗜好を持っているか
的確につかむことができるようになり
ピンポイントの広告を出せるようになるとか。

「グーグルPC」という百ドルの簡易PCを
発展途上国の子どもたちに1億台配布する計画があるとか。

さらに、どこまで信じてよいのかわからないが
グーグルは将来「巨大な権力」となるともある。
その圧倒的な情報管理能力が悪用されれば
映画「マイノリティーレポート」のような世界が
出現するという可能性は否定できないらしい。

現に、グーグルはその公平性を強調しているが
イギリスなどの軍事施設の衛星画像は見られるものの
米国の基地やホワイトハウスなどの写真は削除されているらしい。
さらに中国版グーグルでは、中国政府が嫌うようなサイトが
検索結果として表示されないように設定されているとか。
すでに政治的に利用されているのである。

明るい面だけではなく、暗い面にも光を当てた
なかなか面白い本であった。

  1. 2007/01/04(木) 13:19:00|
  2. 【本】 その他|
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能力の再定義

2007.01.07 Sun

【2007年3冊目】
コンピテンシー実務ハンドブック
太田隆次 (著)(日本法令 2002年8月)

人材開発などへの活用が進むコンピテンシー。
本書では、企業における導入、活用の方法が述べられている。

日本語では「能力」という一つの単語が広範に使われるが
英語では、Ability、Proficiency、
Capacity、Capability、Competenceなど
多様な単語が「能力」という意味で使い分けられている。
Competenceは、なかでも高度の能力を指すことは興味深い。

コンピテンシーは、心理学者のマクレランド教授が
「学歴や知能レベルが同等の外交官(外務情報職員)が、
 開発途上国駐在期間に業績格差が付くのはなぜか?」
という課題の研究に取り組んだのが始まり。
マクレランド教授は、調査・研究の結果
高業績者が示す共通の行動特性を発見した。
この「行動特性」がコンピテンシーである。

従来は、「仕事がデキる」かどうかを判断するときに
おもに知識、スキル、態度を見ていたが
コンピテンシーでは、デキる人の行動を生み出す
信念、動機、価値観、使命感といった心の内面にも注目する。

これは、「7つの習慣」でコヴィー氏が書いた
自分の価値観やミッションに基づいた行動を日々とるべき
という主張と一貫しており、非常に説得力がある。

よくデキる人の行動特性(ベンチマーク)を見つけることで
採用から配置においては「適材適所」を可能にし
人材開発においては、本人の気づきを促し、
得意技を伸ばす支援ができる。

コンピテンシー導入には
企業理念を具体的行動へと噛み砕くところからから始める。
次に、高業績者との面接などを通して
「コンピテンシーモデル」をつくる。
アセスメント(ベンチマークと現状のギャップの測定)、
そして活用(ギャップをどう埋めるか)という手順で進められる。
本書では、これらの方法が具体的な事例とともに説明されている。

第6章「職種別コンピテンシーの作り方」では
さまざまなコンピテンシーと
レベル別の要件を詳述した表が多数掲載され
自分の組織でモデルを構築する際に有用であろう。
教育で活用される「ルーブリック」ともよく似ている。

第7章「職務記述書とコンピテンシー」
国連などでも従来からある職務記述書に
コンピテンシーを追加するアイデアは面白いと思う。
巻末の資料も参考になる。

CDRTでは、採用から昇進、配置転換などにおいて
本人のコンピテンシーにほとんど注意を払わず
何となく場当たり的な人事を繰り返してきた。
コンピテンシーを明確にすることで
効果的な人事が可能になるだろう。
また、スタッフの育成に関しても
コンピテンシーが明確になっていれば
スタッフ自身が何が足りないのかを自覚でき
自ら足りない部分を補う努力をするようになるのではないか。
現場で活動するスタッフの職種はそれほど多くはないので
機会を見て、現場スタッフのコンピテンシーモデルを
つくってみようと思った。
そのときに本書の具体的な内容は大いに役立つだろう。

  1. 2007/01/07(日) 22:04:00|
  2. 【本】 ビジネス|
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  4. コメント:0

経験知の共有

2007.01.08 Mon

毎年恒例となっている「年次ワークショップ」を
1月15日から19日まで5日間の日程で開催します。
今回の参加者は120人ほど。

今年のプログラムは
?村の計画ワークショップ
?グッドプラクティス
が二本柱となります。

?は、2005年末からやってきた
住民組織を対象にした計画ワークショップを
もっと体系的に、村の仕組みとして定着させようとする
CDRTでは新たな試みです。
これは、また機会を改めて書くことにします。

?に関しては
昨年も同じようなことをやりました。
でも、あまりうまくいかなかったことは
まだ生々しい記憶として残っています。

ちょっと思い出して、
昨年1月に書いた自分のブログを読んでいたのですが
ショック。
昨年から進歩がほとんどないことがわかってしまった。
スタッフの進歩がないんだ、といいたいところですが
それはつまり、わたし自身に進歩がない、ということでしょう。

昨年暮れに、グッドプラクティスのペーパーが
現場から続々と届きました。
しかし、その内容を読んでみると
昨年同様、単なる「お話」の連続で
結果として何がよかったのかは書いてあるものの
何がその成果をもたらした要因なのかという
分析や仮説検証といったことがほとんどありません。
この状況は、昨年とまったく変わっていない。
進歩がない。

焦りを感じたわたしは
「ガイドライン」を作成しなおしました。
不安なので、よくできるスタッフに、これでいいかと尋ねると
わかりやすい例もあったほうがいい、というので
わたし自身のグッドプラクティスも事例として書きました。
そして、これらを現場の各事務所に送ったのが先週のこと。

ガイドラインは本当に単純なことで
・結果として、どんな変化が起こったのか
・なぜ、それが起こったのか(とくにCDRTの活動に注目して分析)
・どんな教訓を学んだのか
・これから何をすべきか
(さらによくするために、と、他の場所でも再現するために)

これだけなんですがね。
簡単だと思うのですが
なぜか、現場スタッフは、こういう論理的思考ができません。
あー、どうすればいいの?

まだガイドラインを送ったあとの手直しは見ていません。
これで少しはよくなってほしいのですが
あまり期待はできないだろうなあ、とかなり悲観的です。

この1年間いったい何をやってきたのか、不甲斐ないです。
こういう「よい事例」を集めて
組織としての経験知を積み上げていくという取り組みが
自分自身でも甘かったなと反省をしています。

昨年1年間は「学びのリーダー」という
少数のスタッフを対象にして
現場の経験を振り返り、学ぶ習慣を身につけてもらおうと
格闘してきました。
これはこれで継続していきますが
組織レベルでも現場の叡智が集積される「仕組み」が必要ですね。
これも今年1年の課題として設定すべきなのかもしれません。
来年の年次ワークショップへ向けて。
そのためにも、今年のワークショップでは何をすべきか
もう少し大きな枠で考え直さないといけないようです。

  1. 2007/01/08(月) 16:35:00|
  2. ワークショップ・研修|
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