チーム全体で戦略をつくる
2005.05.22 Sun
今日の本
神田昌典著
60分間・企業ダントツ化プロジェクト
ダイヤモンド社
いっけん国際協力とは何の関係もない本のようですが
わたしにとってはたくさんの発見がありました。
本書は
事業を多面的に分析して
売れる仕組みをつくりあげ
ビジネスを成功に導く方法論が書かれています。
多面的とは、
1.商品
2.顧客
3.競合
4.収益シミュレーション
5.タイミング
6.メッセージ
という6つの項目です。
各項目で分析ツールがあり
これをステップごとに分析していくと
ビジネスモデルができるという流れです。
たとえば「商品」の分析ツールの一つとして
顧客のニーズとウォンツという切り口で商品を分析します。
ニーズもウォンツとも「あり」であればいいのですが
「なし」のときにはどうするかというのもミソ。
高めるための方策もサポートしています。
本書を読んで
わたしもビジネスをやってみたい
という気持ちがさらに強くなりました。
この仕事をしていると
毎月決まった給料をもらって生活をしている自分の甘さを痛感します。
農村に住む人たちはまさに企業家。
自分の力で手に入れた作物や現金で生計を立てています。
そういう人の立場を本当の意味で理解するには
自分自身がビジネスの経験をしないと、と思うことはよくあります。
さて、本書で印象に残ったのは
「戦略とは分析するだけでなく、
それ以上に、創造すること、
そして実行することが重要である」(p18)
そのための要件として
「戦略構築に必要な抽出するための、
効果的な質問をすること」
「革新的なアイデアを得るために、
一時的に混乱状態をつくり出すこと」
「ワクワクしながら自ら進んで実行していくために、
アイデアに対してオーナーシップを感じられるようにすること」
(以上、p19)
だからこそ、チームみんなで考えることが重要なのです。
たんに与えられた計画やアイデアには愛着、執着はでませんが
自分たちでつくったものであれば
それを実行しようというやる気も出てくる。
このへんは、村落開発でも同じです。
もうひとつは印象に残ったのは
「達人の無意識の決定プロセスを意識化していくことにより、
誰でも達人になれるスピードがアップする。」(p284)
「ビジネスの達人が勘として片付けてきた思考プロセス」を
明確化し、モデル化し、誰でも真似ることができるようにする。
そんなパターンが本当にあるのか
ちょっと意見の分かれるところかもしれませんが
ある程度のモデル化は可能でしょう。
ただし「ある程度」であって、
成功するかどうかは、各個人の試行錯誤の結果や
力量、運などにかかってくるわけですが。
あくまでも住民が自力で「道」をひらくこと
を基本とする開発ワーカーは多いのですが、
その道筋を見つける方法(ツール)を提案することも大切でしょう。
もちろん、住民はすでに数多くの経験を積み
わたしたちが足元にも及ばないような知識や技術を持っています。
でも、それを実際にどうやって「仕組み」とするかには
ここでいう「ビジネスモデル」のような考えが必要かと思います。
本書のような数多くの詳細な分析は村ではできませんが
単純化して使うことはできるかもしれません。
ミャンマーの村の状況に合わせた単純な分析ツールを組み合わせて
村でも使えるような形にできないか
考えるキッカケを本書は与えてくれました。
もちろんこれから起業を考えている人には
必読の書だと思います。