スタッフの育成その1

2005.05.16 Mon

この仕事で難しいことはいろいろありますが
なかでもたいへんなのはスタッフの育成です。
いよいよ新たに対象となった地域で
本格的に活動が始まります。
わたしが働くプロジェクト(CDRTといいます)では
いままでに12郡(タウンシップ)を対象としていました。
ことし3月から新たに13郡が加わりました。
ここ2ヶ月ほどは面接をしてスタッフを雇ったり
現場オフィスの開設などをやってきました。

スタッフにはいつも大きな期待をしています。
でも、なかなかうまくいかないというのも現実です。

CDRTの目標を一言でいうと、
貧しい人たちの生活をよくする支援を行うこと、です。
でも、それは何かモノを与えることで達成するわけではありません。
飢えている人に魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教える
という中国の格言があります。
これと同じようなことです。

いままでも、
安易にモノをあげようとしたり、
村人の代わりに、
集会の人集めに走り回る、
実験農場の準備をしてあげる、
種をまいて、水をあげる、
必要な材料を調達してあげる。
などなど、至れり尽くせり。
なかなか村人が腰を上げないので業を煮やして、
ということもあります。
でも、それではいけないんです。

こういう態度は
「あなたにはできませんよ」
といっているのと同じことです。
これでは、村の人たちが自分たちの力で
自分の生活、そして村全体を変えていけるようにはなりません。
やる気も出ないでしょう。
失敗してもいいんです。
そこから学ぶことができれば。

こんなスタッフの態度や考え方を変えるには
どうすればいいのでしょうか?
正解はありませんが、明日は
ちょっといま考えていることについてお話しします。

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スタッフの育成その2

2005.05.17 Tue

きのうの続きです。
おさらいすると
うちのスタッフの能力には大きな期待を持っているが
現場の仕事ではその能力を発揮できていないことが多い。
これをどうするか?
ということでした。

この問いには正解はありません。がくっ
(もったいぶっておきながら)
解決の近道もないと思います。

でも鍵となることは
スタッフ一人ひとりが
「考える方法と力」を身につけること
ではないかと考えています。
わたしたちの仕事は複雑です。
人間や自然を相手にしているのですから
当然といえば当然かもしれません。

どんなにいいマニュアルを作っても、
どれだけ研修を行っても
「考える方法と力」をスタッフが持たなければ、
それこそ千差万別のケースに対応することはできません。

そして、
「考える方法と力」を身につけるには
自分自身に対する「問いかけ」と
「独自の意見」を持つこと
が必要だと思います。

日本でもそうだったように(いまでも?)
ミャンマーでは、暗記中心の教育が行われています。
生徒は、先生の言われたことを復唱し
それを文字どおり「体で覚える」。
まさに寺子屋のような教育が学校では行われています。
先生の言うことを何の疑問も持たずに覚える。
これが美徳とされているようです。
これでは「考える方法」を学べないのは自然でしょう。

20日から現場スタッフに対する
研修を始めます。
ここでどんな「問いかけ」を行うか?
また明日お話したいと思います。
さて、スタッフの心を揺さぶることはできるのでしょうか?

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  1. 2005/05/17(火) 19:16:14|
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スタッフの育成その3

2005.05.18 Wed

きのうは、
どのような「問いかけ」を現場スタッフにするか?
という話でした。

その前に悲しいニュースが。
明日からの出張がなくなりました。
20日からの研修がなくなったわけではなく
わたしが現場に入る許可が政府から下りませんでした。
5月7日のテロといい、
ここのところ政府は神経質になっています。
でも、この話はまたの機会に。
ミャンマー人の同僚は問題なく明日出発します。
現場スタッフには伝えたいことがたくさんあったので
がっかりです。

ところで、考えていた「問いかけ」というのは
・最近なにかいいことあった?
・わたしたちが目指す目標ってなに?
・その目標を達成するのになにするの?
・現場スタッフの原則とか役割ってなに?
・じゃ、現場スタッフとしてなにをすべきかな?
・貧しい人たちが自力でがんばれるようになるには
 どんな支援をすべきかな?
・わたしたちは村になにを残すことができるかな?
というようなことです。
何の変哲もない問いです。

こんな質問をしながら、
最終的は
自分の頭で考えて行動をとる
ということを目指します。
今回だけで実現するようなことでもないので
地道にやっていくしかありません。

わたしの中で答えを持って問いかけることになりますが
考えもしなかった答えが出てきます。
そんなときは、これまた楽しいときです。
いろいろな意見を採り入れて
全体で答えが出ればいいと思います。

さいごの質問は
わたし自身に対する問いかけでもあります。
以前も書いた、
「文書」
「仕組み」
「文化」
を残す。
同じことが、現場スタッフにもいえると思います。

良くも悪くも
わたしたちプロジェクトスタッフは
いつかは去ってしまいます。
ずっとそこに住み続ける村人が
自分たちの力で発展しけるような
仕組みや文化をつくるのに
少しでも貢献したいですね。

なにかをしてあげるのではなく
相手ができるようになるお手伝いをする。
これがわたしたちの仕事です。

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  1. 2005/05/18(水) 21:26:07|
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Think with your head!

2005.06.16 Thu

近々、新入りスタッフの研修を行います。
「自分の頭で考える」
を大きなテーマの一つとするつもりです。

このテーマはここ半年ぐらい
わたしの中でずーっとくすぶり続けています。
これまでに何回も研修を行い
成果として、現場でのスタッフの様子を見てきました。
やはり足りないのは、
この「自分の頭で考える」
ということではないかと思い至りました。
(まだ仮説ですが)

わたしなりに考えた結果
どうも鍵となるのは
「仮説を立てる」
「仮説を検証する」
「現場で活かす」
ということではないかと。

そのためにはスタッフ一人ひとりが
「問いを立てる」
必要があります。
自問自答です。
トヨタでは「なぜ」を5回繰り返すといいます。

たとえば、学校へほとんど通ったことがない村の女性に
「帳簿のつけ方を伝える効果的な方法は何か?」
というのが「問い」です。

現場スタッフは帳簿のつけ方を伝えてはいますが
自分自身にこのような問いかけをしている人は少ないと思います。

この「問い」を自分で見つけることができれば
あとはいろいろな方法を頭の中で考えて
じっさいに試してみたりして
効果的な方法を見つけていくことができるでしょう。
逆に、この「問い」を見つけることができなければ
上から言われた方法を繰り返すだけでしょう。

問いを立て、仮説として自分なりの答えを発見する。
そして、実際にその答えを試してみて
その経験から仮説を検証する。
このプロセスが「自分の頭で考える」ということです。

このロジックさえわかれば
あとはほぼ本人しだいです。

山田ズーニー氏は、これを
「考える方法」とよんでいます。
わたしも「考える方法をサポート」したいと考えています。
同氏の『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(PHP新書)は
素晴らしい本です。おすすめです。
文章の書き方についての本ですが
考える力や方法を身につけたいという人には必読の書です。

各自が考える方法を身につけたあとは
考える「文化」も大切になってきます。
たとえ考える方法を身につけたとしても、
部下の考えを上司が尊重しなければ
部下は考えることをやめてしまいます。
ですから、各自が考える方法を身につけると同時に
上下関係の区別なく、相手の意見を傾聴、尊重するような
組織文化・風土も大切になってくるでしょう。

*

  1. 2005/06/16(木) 19:46:26|
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ツールへのごだわり

2005.06.17 Fri

2、3日前のことです。
外国人の開発ワーカー2人と話をしていて
会議の話になりました。
曰く、某国際機関の会議は時間を無駄にしていると。
まあ、どこの組織でも会議に対するイメージは
似かよったものかもしれません。

で、この人は続けて言いました。
「VIPPというツールを使えばうまくいくのになあ」
で、もう一人が
「そうそう、あれはいいツールだよね」
と、話に花を咲かせています。

でも、そのとき
わたしは大きな疑問を感じました。

VIPPとは
Visualisation in Participatory Programmesの略で
方法は、議論となっているアイデアを
参加者が大きめのカードに書いて貼り出し
アイデアを共有化して
議論をビジュアル化することで
より効率的・効果的に議論を進めようというツールです。
ドイツ人が開発した手法で
1993年にユニセフがそのマニュアルを出しています。
(ネットでダウンロード可

このマニュアルを読むと
単純な議論促進ツールではないことがわかりますが
ツールというものは使いやすいところだけが使われていく
という悲しい現実があります。

この人はわざわざドイツから
そのツールを活用するのに必要な
カードや、カードを貼るためのボード、ピンなどを
ミャンマーへ輸入したといいます。

まあ、たしかにいいツールなのでしょうが
ツールへの過信は禁物でしょう。
過信すると活用が硬直的になるのが怖いです。

VIPPは議論を視覚化したということでは
画期的だったかもしれません。
そのマニュアルの冒頭にはこう書いてあります。

人はどのようにして物事を学ぶか
1%は、味わって
2%は、さわって
3%は、においを嗅いで
11%は、耳で聞いて
83%は、目で見て

たしかに視覚で理解する人は多いでしょう。
でも、そういう人ばかりでもないでしょう。

ラーニングスタイルという言葉があります。
物事を学ぶスタイルです。
人はそれぞれ異なる得意なスタイルがあります。
一般には
聴覚、言語感覚、触覚、視覚と
4つのスタイルがあるといわれています。

さらに細分化する人もいます。
ハーバード大学のハワード・ガードナー教授は
「マルチ能力(Multiple Intelligences)」
として8つの能力を挙げ
これまでのような偏った学校教育へ警告を鳴らしています。

8つの能力とは
word smart(言葉を使うのが得意/好き)
number/reasoning smart(数字や論理的な考えが得意/好き)
picture smart(絵が得意/好き)
body smart(体を使うのが得意/好き)
music smart(音楽が得意/好き)
people smart(人と接するのが得意/好き)
self smart(自分と向き合うのが得意/好き)
nature smart(自然と触れ合うのが得意/好き)

(くわしくは『マルチ能力が育む子どもの生きる力』小学館
 またはwww.ThomasArmstrong.comを参照)

このように考えると
カードに書き出しとしても
カバーできるスタイルはせいぜい
言語系、視覚系、論理系ぐらい。
そのほかの能力を得意とする人たちは
ごっそり抜けおちているわけです。

このような意味でも
一つのツールにこだわるのは危険だとわかります。

だったら、どうすればいいの?
という問いへの正解はありませんが
とにかく、
さまざまな学習スタイルに合わせた方法を
とるしかないでしょう。

ツールはあくまで手段であり
目的とはなりえません。
その場、その場の目的に合わせて
手法を選択、臨機応変に対応できるのが
よいファシリテーターの条件だと思います。

*

  1. 2005/06/17(金) 20:53:19|
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