戦略の提案

2005.06.06 Mon

きょうは一日中ミーティングでした。
事務所の近くにある役所の一室を借りておこないました。
暑い中でずっと椅子に座って議論を続けるのは
なかなか疲れるものです。

うちのプロジェクトは地理的に6つの「エリア」に分けられます。
その各エリアからマネジャーとマネジャー補佐が
ヤンゴンに集まりました。
彼らはそれぞれのエリアで
50人から80人のスタッフを統括する役職です。
交通事故のため欠席した人がひとりいましたが
ヤンゴン本部から出席したスタッフを合わせると
全部で18人が参加しました。

いまのプロジェクトマネジャーは
1週間前に着任したばかりですので
きょう、あしたのミーティングの目的は
これまでの活動内容の確認と
これからの活動計画についてです。

それぞれのエリアから出席した人たちは
ほとんどが50代の人たち。
若い人でも45歳ぐらい、上は60歳を超えています。
とにかく、スタッフの中でもっともシニアの人たちです。

さすがに彼らは(10人中9人が男性)
生え抜きで、現場経験が豊富、能力が高い人たちです。
発表内容は濃く、提案も注目に値するものが多いです。

でも、一つひとつは素晴らしい提案でも
それを総合した形で思考できる人はなかなかいません。
えらそうなことを言わせてもらうと
「戦略」を語る人がいないということです。

戦略とは何か?
中島孝志氏によると(『仕事の道具箱』)
戦略的思考とは
?何をやるか、?何をやらないか、
?なぜやるか、?なぜやらないか、
?自分の資源をどう選択し、どこに集中するか
だそうです。
シンプルでわかりやすい定義です。

きょうのミーティングでわたしは「戦略」を提案しようとしました。
以前も書いたように、いまわたしたちが抱える大きな課題は
「村人の生計向上をどのように支援するか」
ということです。

わたしが思うに、生計向上の支援ですべきことはシンプルに3つ。
村人が
?生産・所得向上のアイデア・選択肢を増やすのを支援する
?アイデアを行動へと移すため(生計向上の活動)に
 必要な資源や資金を支援する
?資源や資金へ継続的にアクセスできるように支援する
これだけです。

戦術(how, when, where, who)の部分はここでは割愛しますが
わたしの提案内容への反応はおおむねよかったです。
また相対する様々な意見が出たこともよかったと思います。

予想どおりでもあり、意外でもあったのは
いつも意見の合わないおじさんでした。
予想どおりだったのは、彼から批判的意見が出たこと。
意外だったのは、きょうはかなり議論をして
お互いの意見を深く交わすことができたので
かなり分かり合えることができたこと。
こちらは収穫でした。

一方で、
最終決定が下されなかった残念でした。
というよりも、イライラしたといったほうが正しいかもしれません。
自分の感情のせいかもしれませんが
他の人も煮え切らないような顔をしていたように見えました。

これは明らかにリーダーシップの問題でしょうね。

*

  1. 2005/06/06(月) 23:49:47|
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スタッフの役割

2005.06.07 Tue

きょうも、きのうの続きで1日中ミーティングでした。
今後の戦略の形が少しは見えてきてよかったのですが
戦術も部分でツメが甘く
あまり賛成できないような形になりつつあります。
AC_meeting

まあ、それはそれとして
これからの活動の中で修正していきたいと思います。
農村開発など人間相手の仕事では
誰も何が正しいかはわからないのですから
やりながら修正していくことが大切でしょう。

それに、意思決定というものは多くの人間でなされるわけですから
一人で「こうじゃないといけない!」と
がんばっても、なかなか通りません。
どこでも「根回し」は必要です。

それはさておき
きょうのミーティングでは
自分なりに反省しないといけないことが2点ありました。

まず、しゃべりすぎたこと。
気づくと、いつもよくしゃべる人と同じか
それ以上の割合で発言をしていました。
発言をすること自体は悪いことではありませんが
それが他の人が発言する機会を奪っていたとすると問題です。
いままでトレーナーとして研修をするときは
必ず「場を独占する人」に注意を促していましたが
いつの間にか自分がその人になっていました。
これは大きな反省です。

もひとつは、
新しく着任したボスに対しての気配りです。
このボスは赴任してまだ1週間ですから
現場もまだ見ていませんし、プロジェクトの内容もわからないので
なかなか重要な決定は下せないものです。
わたしもそれは頭で理解しながらも
実際には自分の言いたいことを優先して話を進めていました。

でも、わたしの同僚は違いました。
そんなボスに対して最大限の敬意を払い、
親切丁寧に説明を重ねていました。
自分の役割を把握して
その役割に徹する姿には本当に感心しました。
言いたいことがあっても、それを自分の中でグッと飲み込んで
ボスが言おうとしていることをくみとり
数少ない発言の中にもよい点を見つけて、それを立てる。
オトナですね。
このスタッフは、わたしがいままでに会ってきた人の中でも
本当に尊敬できる人の一人です。

しかし、理不尽なものです。
ミャンマー人スタッフは、国内のUN関係機関で働く限り
どこまでいっても、プロジェクトを統括するマネジャーにはなれません。
いくら能力が高くて、経験があってもです。
単にプロジェクトマネジャーは外国人でないといけない
という決まりがあるだけなのですが
ちょっとちがうんじゃないなかな〜。
そんなこんな、いろんな点が気になりだしたきょうこのごろです。

*

  1. 2005/06/07(火) 23:18:48|
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研修のながれ

2005.07.03 Sun

きょうからスタッフ向けの研修が始まりました。
7日間の研修で、うち4.5日間はわたしがトレーナーを務めます。
ここ数日はその準備で忙しく、ブログもなかなか更新できません。

この研修はおもに新入りスタッフのための研修で
開発に関する概念やその根本にある価値観のほか
コミュニケーションやファシリテーションのスキル
それからジェンダー、HIV/AIDSなどを含みます。

今回は1月に行った研修と内容はほぼ同じですが
少し切り口を変えてみました。

その切り口というのは
「7つの習慣」です。
依存から自立へ
自立から相互依存へ
という「ながれ」でプログラムを組み立てました。

大きく分けてテーマは3つあります。
・開発の基本概念とそのベースとなる価値観
・自立した開発ワーカーへ
 (価値観に基づいた目標、目標を達成する行動)
・仲間とともに相乗効果をあげる

初日であるきょうは
参加者の共通基盤づくりのためのアクティビティのあと
「開発」と「参加」というもっとも基本的な概念を
参加型アクティビティを通じて学びました。

いまさら大人を相手に「自立」もないだろ
と思われるかもしれませんが
わたしたちの多くは明確な目標を持たずに
日々の仕事や生活を送っています。
遠回りのようかもしれませんが
まずは価値観や目標を明確にすることで
主体的に行動できるようになるのではないかと考えています。

明日はこの「主体性」をテーマにします。

  1. 2005/07/03(日) 23:23:09|
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抽象概念の研修

2005.07.04 Mon

きょう強烈に感じたのは
抽象概念を伝える難しさです。
英語からミャンマー語へ
トレーナー兼通訳を介しているのが問題なのか
参加者が抽象的に考える習慣がないからか
とにかく、抽象概念は難しい!

きょうのプログラムの中では
参加者にミッション−ゴール−アクション
を考えてもらいました。
研修の方法はヤンゴンのワークショップ仲間とやったのとほぼ同じ。
・ミッション、ゴール、アクションの構造・概念図
・石工の話
・人間彫刻
・ミッション、ゴール、アクションづくり

やる直前にわかったことは
参加者の何人かはこれらの概念を聞いたことがあるのですが
そのときの定義と今回の定義が異なるということです。
これはえらいこっちゃということで
構造図からは入らずに
まずは共通理解として言葉を定義することにしました。

わたしの認識としては
これら三つの言葉自体はあまり重要ではなく
優先順位がわかればいいぐらいに考えています。
ですから、この「研修では」と断ったうえで
定義をすることにしました。

そのために使ったのが石工の話です。
これはドラッカーの本に出てくる有名な話です。
3人の石工がまったく同じ作業をしているのですが
自分の仕事に対する見方がまったく違います。

工事現場を通りかかった人がそれぞれに
何をやっているのかと尋ねたところ
1番目の石工は
「見ればわかるだろ。石を砕いてんだ!」
2番目の石工は
「石垣をつくってんだよ」
3番目の石工は
「この国でいちばん美しい建物を建ててんだ」
といいます。

この話から
?目の前の作業にしか目が向かない人
?目標は持っているが、最終イメージがない人
?大きな目標に向かって仕事をする人
という原則が学べます。

このストーリーのおかげで
参加者は3つの概念が何となくわかったようです。

つぎに、その理解を深めるために
ミッション、ゴール、アクションを
それぞれ「人間彫刻」という
体で表現するアクティビティをおこないました。

前日に、「参加」を4、5人のグループで人間彫刻していたので
アクティビティの主旨はわかっています。
でも、ミッション、ゴール、アクションは
あまり反応がよくありませんでした。
まだ消化できていなかったのかもしれません。

何人か発表してくれたのを見て驚きました。
とても具体的なのです。

日本人の仲間は
・ミッションは自分自身(不動の姿勢)
・ゴール(ビジョン)は将来を見るような姿勢
・アクションは走ったりといった動作
と、ほとんどみんな同じように表現していました。

でも、この研修の参加者は
みんな違った人間彫刻を見せてくれました。
まさに千差万別。
印象的だったのはとくにミッション。
・食べ物が十分にある
・お金持ちになる
・大きな家に住む
などとても具体的。

参加者の中には村出身の人が多くいます。
50世帯から200世帯という小さな村です。
経済的には決して豊かではありません。
という背景を考えると これらのミッションもうなづけます。

と同時に、
抽象的な考えが苦手ということもあるでしょう。
そういえば「参加」の人間彫刻も
餅つき、ボート漕ぎ、レンガを運ぶ様子など
具体的に表現していました。
参加の人間彫刻

抽象的な考え方ができるようになるのは
どのようなことが必要なのでしょうか?
これからの課題になるような気がしました。

  1. 2005/07/04(月) 23:52:34|
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研修のしめくくり

2005.07.06 Wed

わたしが担当した4日間の研修が終わりました。
研修のようす
開発の概念および価値観と
コミュニケーション・ファシリテーションのスキル を扱った研修でした。
はたして参加者はどこまで吸収してくれたのでしょうか。

前にも書きましたが、
今回の研修では
全体を貫くメッセージを明確にしたつもりです。
扱った内容は開発概念とスキルですが
全体のメッセージは
依存→自立→相互依存を横糸に
価値観、知識、スキルを縦糸にして
研修プログラムを組み立てました。

おおむね反応は良好です。
参加者が研修の中で体験を通じて自ら発見して、学ぶ
「参加型」の研修を受けたことがない人は意外に多く
そういう人には目新しく映ったことでしょう。
その効果もまた肌で感じてもらえたと思っています。

開発プロジェクトの多くは
いまやほとんど「参加」をうたい文句としていますが
会議やスタッフ研修など、その組織内のスタイルは
相変わらず旧来のままというところが多いのではないでしょうか。

研修でもやりましたが、たとえば
「参加」という概念は、知識として伝えればいいのではなく
その裏にある価値観を体全体で理解する必要があります。
参加は、複数の人が協力して相乗効果をあげる必須要素です。
一人の“頭のよい”人間が最善の方法を考えてあげて
あとの人間はそれに従うという
官僚制度のようなパラダイムからの転換です。
価値観や信念の変化なしには習得しえない概念なのです。

「参加」という価値観を身につけると
自然とその人の行動や態度も変わってくるでしょう。
漫然と相手の話を聞くのではなく
感情までも理解しようと耳をかたむけ、
何でもしてあげるのではなく
相手を尊重し、行動へのやる気が出るように励まし、
情報を汲み上げるための質問をするのではなく
相手の主体性を生かすための質問をする。

研修のメッセージはそんなことです。
もちろん口でも言いますが
大切なことは
研修全体でその雰囲気をかもし出すことです。
そうして「無意識」の領域にもうったえることを目指しました。

参加者たちはいまは何となくしかわからないかもしれませんが
それは頭のどこかに残っているはずです。
そういう「何となく」が
実際の現場での何気ない行動に出てくるとわたしは信じています。

さて、わたしの担当は終わりましたが
研修はきょうも続きます。
参加者の行動や態度を見ていれば
わたしの研修の成果はおのずとわかります。
また、きのうまでのフィードバックをもらうことでも
参加者が研修から何を得たかがわかります。
成果についてはまた報告します。

  1. 2005/07/06(水) 23:29:07|
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