能力の再定義

2007.01.07 Sun

【2007年3冊目】
コンピテンシー実務ハンドブック
太田隆次 (著)(日本法令 2002年8月)

人材開発などへの活用が進むコンピテンシー。
本書では、企業における導入、活用の方法が述べられている。

日本語では「能力」という一つの単語が広範に使われるが
英語では、Ability、Proficiency、
Capacity、Capability、Competenceなど
多様な単語が「能力」という意味で使い分けられている。
Competenceは、なかでも高度の能力を指すことは興味深い。

コンピテンシーは、心理学者のマクレランド教授が
「学歴や知能レベルが同等の外交官(外務情報職員)が、
 開発途上国駐在期間に業績格差が付くのはなぜか?」
という課題の研究に取り組んだのが始まり。
マクレランド教授は、調査・研究の結果
高業績者が示す共通の行動特性を発見した。
この「行動特性」がコンピテンシーである。

従来は、「仕事がデキる」かどうかを判断するときに
おもに知識、スキル、態度を見ていたが
コンピテンシーでは、デキる人の行動を生み出す
信念、動機、価値観、使命感といった心の内面にも注目する。

これは、「7つの習慣」でコヴィー氏が書いた
自分の価値観やミッションに基づいた行動を日々とるべき
という主張と一貫しており、非常に説得力がある。

よくデキる人の行動特性(ベンチマーク)を見つけることで
採用から配置においては「適材適所」を可能にし
人材開発においては、本人の気づきを促し、
得意技を伸ばす支援ができる。

コンピテンシー導入には
企業理念を具体的行動へと噛み砕くところからから始める。
次に、高業績者との面接などを通して
「コンピテンシーモデル」をつくる。
アセスメント(ベンチマークと現状のギャップの測定)、
そして活用(ギャップをどう埋めるか)という手順で進められる。
本書では、これらの方法が具体的な事例とともに説明されている。

第6章「職種別コンピテンシーの作り方」では
さまざまなコンピテンシーと
レベル別の要件を詳述した表が多数掲載され
自分の組織でモデルを構築する際に有用であろう。
教育で活用される「ルーブリック」ともよく似ている。

第7章「職務記述書とコンピテンシー」
国連などでも従来からある職務記述書に
コンピテンシーを追加するアイデアは面白いと思う。
巻末の資料も参考になる。

CDRTでは、採用から昇進、配置転換などにおいて
本人のコンピテンシーにほとんど注意を払わず
何となく場当たり的な人事を繰り返してきた。
コンピテンシーを明確にすることで
効果的な人事が可能になるだろう。
また、スタッフの育成に関しても
コンピテンシーが明確になっていれば
スタッフ自身が何が足りないのかを自覚でき
自ら足りない部分を補う努力をするようになるのではないか。
現場で活動するスタッフの職種はそれほど多くはないので
機会を見て、現場スタッフのコンピテンシーモデルを
つくってみようと思った。
そのときに本書の具体的な内容は大いに役立つだろう。

  1. 2007/01/07(日) 22:04:00|
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経験から学ぶ

2007.01.21 Sun

【2007年5冊目】
「経験知」を伝える技術
ドロシー・レナード、ウォルター・スワップ (著)
池村千秋 (訳)(ランダムハウス講談社 2005年6月)

最近NHKで、団塊世代の退職が間近に迫り、警察の中の重要な知識・知恵の喪失が懸念されている、というニュースを見た。この問題は警察ばかりでなく、あらゆる官民組織においても同じであり、さらに本書によれば、米国でも同様の問題を抱えているという。普段はあまり気づかないものだが、経験豊かなベテランといわれる社員は複雑な状況でこそ、その真価を発揮する。直面した状況において、迅速かつ賢明な判断を下し、行動をとることができるのである。

私たちは、こうした卓越した人を見ると、そのすごさを実感する。患者の異変にいち早く気づき処置を施す外科医、盤上の駒の位置を見て瞬時に大局を判断できる将棋の名人、火事の現場で危険を察知する消防士など、いわゆる職人と呼ばれるようなその道をきわめたプロは、言葉では表現することが難しい、その人の中にだけに蓄積された経験や知識をもっている。その卓越性は、膨大な経験に支えられたパターン認識能力にあるという。研究によれば、チェスの名人は何万通りものパターンが頭にあり、それをもとに打つ手を考えているらしい。

本書では、そうした経験に基づいて獲得する深い知識・知恵を「ディープスマート」と称し、それを組織の中でどう育み、より経験の浅い社員へと移転させていくかというテーマを扱っている。

本書は、大きく分けて4つのパートに分かれる。知識の構築、形成、選別、移転の4つである。いずれでも米国内外の企業、NASAの研究所、世界銀行など多岐にわたる事例が紹介されている。

知識の構築では、経験を通じてどのように知識が築かれるのか、という非常に興味深い問いに答えている。その過程で、幅広い経験のレパートリーの中から、パターンを認識することで必要な知識を得ていく。また、計画的に練習を積み、振り返り、フィードバックを受けることもディープスマートを獲得するうえで大きな意味を持つ。しかし、経験を通して知識を得るとはいえ、その人に「レセプター」と呼ばれる脳内のある構造がなければ、情報は単なる情報のままでしかなく、知識にはならない。だから、経験から知識を得てディープスマートを築く前には、まず関連するコンセプトや用語を学んでレセプターをつくらなければならないという。

哲学の世界では、知識は「正当化された真なる信念」とされ、「主観的なもので、さまざまな影響を受けて形成されるもの」という定義はとても面白い。たしかに、私たちが知識として持っているものは、何を信じるかによって大きく左右される。たとえば、ある場所への最良のルートという知識は、その人が時間を大切と思うか、距離(燃料消費量)を大切と思うかで異なるだろう。また、周囲の影響もあって知識は社会的に形作られるというのも頷ける。こうして、一度形成された知識(信念)はなかなか変えることができないが、反対の経験をつくり出すことで変わる可能性は高まる。

なかでも最大のテーマは、知識の移転である。方法としては、指示、経験則、体験談、質問、指導のもとでの経験と、学び手に要求される主体性のレベルによって変わる。著者たちがもっとも効果的としているのは、最後の方法である。

不遜な言い方になるかもしれないが、この「指導のもとでの経験」は、私が過去1年間ほどCDRTで試してきた方法とよく似ており、この本を読んで、私は自分のやってきたことの方向性の正しさを確認できた。もっともそれは、吉田新一郎氏の本を参考にして実践したことであり、私も同氏からの助言などを通じてこの分野でのディープスマートを築こうと、練習、観察、問題解決、実験を繰り返しているところである。ディープスマートを獲得するには、いくらテクノロジーが発達しても、長い時間がかかるものだ。著者たちは、どんな分野でも10年はかかるといっている。本書は、組織だけでなく、個人が長い時間をかけ経験から学ぶために、より効果的な方法を考える大きな助けともなる。

  1. 2007/01/21(日) 21:26:00|
  2. 【本】 ビジネス|
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クレド

2007.01.28 Sun

【2007年7冊目】
リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間
高野登 (著) (かんき出版 2005年9月)

  1. 2007/01/28(日) 20:59:00|
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直感、ひらめき

2007.02.03 Sat

【2007年8冊目】
第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
マルコム・グラッドウェル (著)
沢田博・阿部尚美 (訳)(光文社 2006年3月)

  1. 2007/02/03(土) 22:12:00|
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プラインミング技術

2007.02.04 Sun

【2007年9冊目】
脳と心の洗い方
苫米地英人 (著)(フォレスト出版 2006年7月)

  1. 2007/02/04(日) 23:14:00|
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